ビジネス時事通信Vol.10…【W杯 日本対ドイツ】
W杯 日本対ドイツ
先日、ワールドカップの一次リーグにて日本対ドイツ戦が行われ、
下馬評の高いドイツを相手に、日本が勝利するといういわゆる「ジャイアントキリング」が起きました。
この試合は視聴率で40.6%を叩き出すことになり、多くの方がその瞬間を目撃していたと思います。
試合は、前半は終始ドイツペースでペナルティキックからドイツが先制。
日本のポジショニングの悪さも相まって日本の選手はかなり疲労させられたと思います。
私は個人的にサッカーをよく見ているので、日本の選手個人の能力はそこまで低くなく、
「戦術の差」で負けそうだなと感じていました。
試合後半で日本は大きく戦術を変更し、前半で圧倒していたドイツを逆転して勝利することになるのですが、
サッカーにおいてはこの「戦術の差」が及ぼす影響は大きく、
私は野球も好きなのですが、野球の監督とサッカーの監督ではその重要度は天と地の差があります。
日本の監督はドイツのシステムに合わせてヒトとヒトの動かし方を変えて、それに選手が従い実行して結果につながりました。
この試合の勝利はビジネスにおいてもヒントが多く隠されているものになったと思います。
ドイツから学び、日本から学ぶ
ドイツはタレント集団で、前半は下馬評通りの知的でクリエイティブなサッカーをしていました。
日本はドイツに好きにやらせないようなポジションを取って対抗しようとしました。
日本は相手の良さを消すための「守りの戦術」を選択、一方、ドイツは相手のやり方を見ながら隙を突くという「攻めの戦術」を選択、
結果的にはドイツがひたすらマイペースに攻め続ける展開となり、ドイツが優位に進めました。
ビジネスに置き換えてみると、市場を席捲している大企業がその資産を利用してどのようにして収益を上げるかに終始していたことに対し、
中小企業は自分たちの取引先を奪われないように飛び回っていたというような図式だったと思います。
このままいけば間違いなく大企業が中小企業のビジネスを奪っていったと思います。
守り切れないと感じた中小企業側で社内に変化が起きて、大企業の動きに合わせて戦術を見直すことを選択しました。
守っていた取引先を失ったとしても、新しい取引先や市場を開拓するため施策を選択。
大企業の手が届かない細かいサービスを提供することで違いを作り出し対抗することに成功。
結果、取引先を失うことなく大企業が持っていた取引先を獲得することができた。こんなようなストーリーに見えました。
中小企業が生き残るには必ず大企業の戦略戦術を考える必要があります。
生き残ると書きましたが、共存する戦略を取らなければなりません。
資本規模が違う相手には局所的に勝てても基本的に長い目でみて勝てません。
共存するためには大企業が取った戦略戦術に対し、やらないやれないことをするというのが一番です。
ただ、大企業がやらないことはビジネスとして成り立たないと判断している例も多く、難易度が高いです。
今までだれも考え付かなかったアイディアで新しい市場を作ることができれば共存の道が見えるかもしれません。
「選択と集中」でくさびを打ち込むイメージです。
話が戻りますが、なぜドイツは後半失速し試合に負けてしまったのでしょうか?
いくつか要因があると思いますが、前半で慢心したのが一番の要因に感じます。
大企業は「攻め続ける」必要があります。
なぜなら必ず市場は奪われるものだからです。
恐竜が絶滅したのも体が大きいのが原因です。
大きな体を維持するためには小さな収益では維持できないのです。
理想の会社とは
以前のビジネス時事通信でご紹介したかもしれませんが、
会社の目標は「長生き」することです。
つまり人と一緒です。お金を稼ぐこともスキルを身につけることも、
健康で長生きするために行っているのです。
子孫を残すことも、次の世代に命をつなぐためにやっています。
会社を大きくすることは「手段」として選択することであり、
前述のように大きな体を維持することは小さな収益では維持できないので、
収益を残せない場合は大きな会社はリスクになります。
一方、小さく弱い体のままでは長生きできないわけですから、
そのバランスをどのようにしてとるか、そこに戦略戦術が試されます。